公務員はかなりブラックだったという話。

この不況の折に職を辞して公務員を目指す人や、あるいは自分もなりたいと、公務員に対して羨望のまなざしを送る人がとても多くいます。

私も数年前まで、民間のブラック企業に勤めていたころは「公務員はいいよなぁ」と思っていました。

ですが、実際に地方自治体の職員として数年働いてみた私の感想は「そこらの民間よりもはるかにブラック」でした。今は退職して、生活の安定を手放した私ですが、後悔は全くしていません。

周囲の辞めてしまうなんてもったいないという声や、これから目指そうとしている方、そして現在働いている方を見ると「この人たちは本質が見えていない、本当に気の毒だなぁ」と思えてならないです。

今回は、私が数年働いてみた実体験を基に、公務員は本当にブラックだからマジでおすすめしませんという話をしたいと思います。

旨味が出るのは勤続20年から

はっきり言います。公務員の給料は安いです。もうね、激安です。

大卒の初任給なんて手取りで15万くらいです。でも、こういうことを言うと「昇給が安定しているんでしょ?」とよく言われます。

そこは民間と比べたら確かに地方ではいいほうなのかもしれませんが、これも旨味が出てくるのは勤続20年くらいになってからです。勤続20年選手でようやく手取り30万行くか行かないかくらいです。

現実的な出世の最終ラインである部長までいったとしても手取り35万くらいです。年収で650万円といったところですね。手取りにすると500万くらいですかね。いやいや、そこまで上り詰めてもそれだけかよ。うーん。これは夢がない。

非効率で無駄なやり方

回覧、起案、稟議、打合せ。どれも私の嫌いな言葉です。

公務員は何をするにしても、必ず上にお伺いを立てます。そんなの民間でも当たり前じゃんと思ったかもしれませんが、これがホントにどんなことでもやるから困るんですよ。これがお金を使うことならまだわかりますが、取引先に送るお礼状はこんな感じでよろしいでしょうか?なんてことも起案してお伺いをしないといけません。不安だったら上司に見てもらえばいいだろって思います。

そして最も非効率だと思うのが文書主義という点です。何をするにしても紙で起案した文書をお上に回覧しないと決済をもらえないのです。上の偉い人からハンコをもらわないと先に進めないのです。

課長が会議やら出張やらで不在なんてことがあれば、回覧が途中で止まってしまって、仕事に一週間も遅れが出るなんてことも割とあります。偉い人に限っていなかったりするんですよね。

メールで見てもらえば終わる話なんですけどね。民間では考えられない非効率なやり方です。

割に合わない仕事

公務員の仕事は管理分掌といって各職員に割り振られています。今年あなたはこの仕事をしてくださいねーという作業割り当てです。

しかし実際は年度の途中で急に新しいプロジェクトが始動することもありますし、住民の対応や、他部署の事業など、それこそイレギュラーな仕事は毎日のようにあります。

にもかかわらず、いくら仕事が増えようが給料は変動しません。やろうがやらまいが、変わらないのです。

そうなると人は、いかに楽をするか、いかに余計な仕事をしないで済むかを考えるようになってしまいます。何か必要性のあることを見つけても、指示がない限りは絶対にやりません。誰がやってもいいような仕事は押し付け合いになります。最終的に若手が押し付けられることが非常に多いです。というか私がそれでした。

若手ほど損をする

この非効率で時代錯誤も甚だしい組織では当然、終身雇用の年功序列制度が整備されています。

若手はこき使われ続けます。私の肌感で言うと30~40前後の中堅職員ぐらいが一番割に合わない印象を受けました。このくらいの方達はある程度まかせても仕事が出来てしまうため、個人でかなりの数の仕事をこなしています。

そして仕事をこなせばこなすほど、彼に頼めばやってくれるという信頼が生まれ(それはそれでいいことなのですが…)どんどん仕事を振られていきます。何か困ったことがあればあの人に頼めばいいや、といった具合で作業が増殖していくのです。

もちろん給料は据え置きです。雀の涙ほども変わりません。他の大して仕事を振られていない職員(こういうと語弊があるかもですが)と比べると明らかに損をしています。確かにそれをこなしていける方は出世も早くなる(と言っても年齢やポストの数の関係上限界はあるが)のですが、上に行けばさらなる無茶振りが待っていますし、一番上までいっても収入は頭打ちになります。

というか、そのくらい仕事のできる優秀な人なら、おそらく個人で独立してもやっていけるでしょう。その方が絶対収入上がるしその方が良くないですかね。

「組織の為に役に立つことがしたいんだ俺は」という方ならそのままでいいんでしょうけど、私はそうではなかったので馬鹿らしくなって辞めることにしました。だって豊かにならないですもん。この資本主義の世界で豊かに生きるためには、とにかくお金を増やさないといけない訳ですからそう考えるのが妥当ですよね。

属人化する仕事、増大する権力、まかり通るパワハラ

この仕事はあの人がいつもやっている、この組織ではあれを知っているのはあの人だけだ、なんてことがザラにあります。

人員が削られた結果、仕事が属人化してしまうんです。結果その人の権力が日増しに大きくなっていって、あの人に強く言える人がいない、なんて状況になったりします。その仕事のフォローみたいな立場になってしまえば最後、もうその人には逆らえません。教えてもらわないと出来ない訳ですから。

これが正に私のことで、本当に酷いパワハラを受けてきました。やっぱりね、逆らえない関係っていうのは良くないですよ。ハラスメントの温床になると思います。その人もどうかと思いますが問題は、そんな状況がまかり通ってしまっているということですね。仕事が属人化するというのは組織として非常に良くない状況を生むわけです。

足りていない人員と増殖する仕事

少子高齢化や都市部への人口流出は歯止めがきかず、年々地方自治体の人口は減り続けています。当然税収などの歳入も減っていきますので、コストは出来る限り削らなければなりません。組織の人員体制も年々少なくなっていきます。

しかし、仕事が減るという事はほとんどありません。むしろ去年までなかった新規事業を展開するなんてことの方が多いです。

人は減っているのになぜ仕事は増えるんだろう。このままいけばいつか破綻するんだろうなーなんてことばかりを考えていましたが、おそらくそのこれ以上減ったら本当に無理!というラインを探しながらじわじわと減らしているんだと思います。つまらない仕事なのにしんどくて安月給。これが現実です。

成長につながらないシンプルにつまらない仕事

公務員の仕事の全てがつまらないという訳ではないのですが、ほとんどが面白味のない定型業務です。やってて面白いような担当に当たっている人はほんの一握りです。

その他大勢は定型業務や、自分に割り振られた案件・事業をこなしています。彼らがやっているのは行政として必要な仕事です。誰かがやらないといけません。ですが、この仕事をこのまま続けても未来がないと思いました。

何故なら、公務員は続けていても、これといってスキルが全く身につかないからです。身につくのは公文書を作る力と、ちょっと地方自治法と窓口での手続きに詳しくなるぐらいのものでしょう。

公務員を辞めたとしたら、自分で稼いでいく力が全くないのです。これに気付いた時にかなり危機感を覚えました。公務員は潰しがきかないのです。

まとめ:公務員最強説は当の昔に終わっている

公務員と言えば、給料は高くて、営業成績やノルマもないし、ただ机に座ってハンコ押してるだけの簡単なお仕事でしょと考えている人は本当に多いです。

ただ座ってるだけの公務員はほぼいません。いたとしたらかなり大きい組織に所属しているか、天下り先の管理職だけです。ほとんどの公務員(若手ならなおさら)が割に合わないクソみたいな仕事で毎日消耗しています。

決して彼らの仕事自体をディスっているのではありませんが、彼らが世間のイメージするようなラクな仕事をしているわけでははないという事だけは声を大にして言いたいです。

出勤時間よりも早く職場につき、住民の対応に追われ、定時が過ぎたらやっと自分の仕事に取り掛かり、サービス残業をし、休日も職場で仕事をして、毎日消耗しながら過ごしているのです。休みは週に1日あればいい方です。繁忙期などは連勤2ケタなんてザラです。

もしこの記事を読んでいるあなたが、給料が安定していて仕事は楽そうだから公務員になりたい、と考えているのであれば、よっぽどのことがなければ辞めた方がいいです。

公の為に奉仕したい、自分の生活は二の次でもいいというぐらいの、よっぽど熱い気持ちがないと正直かなり辛いと思います。私はそうじゃなかったので、続けるのが苦痛で辞めました。

今すでに公務員として働いているが、私と同じように考えているのであれば、辞めたくても辞められないような年齢になる前に少しでも早く退職することをおすすめします。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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